こんな話  2026年2月4日|水曜日

私立中学受験後 公立中学校に通うお子様へ~立春の日に~

暦のうえでは本日は立春。

すこしずつ春めいてくる時節柄。

受験シーズンが終わりを告げます。

私立中学受験をされたご家庭で第1志望校合格が叶わず、地元の公立中学校へ進学される方は合格者数以上に多いと思いますが、その後のケアが気になります。

 

教養堂も毎年、当塾の新中1コースの春期講習から中学受験を経て入塾されるお子様をお預かりすることが少なくありません。

ある子は中学受験では合格できなかった学校に高校受験で再度挑戦してその学校に合格していきました。

またある子は難関の公立高校へ進学して大学受験で最終的に思い描いていた進路に進むことができた子もいました。

そんな私が毎年思ってきたことを少し綴ることにしました。

ひとつは勉強の仕方、もうひとつは精神面についてです。

 

挑戦して頑張ったことの価値は何物にも代えがたい経験です。

ここでご家族の皆様が必要以上に第1志望校に届かなかったことについて後に引きずらないことが大事です。

希望の結果に届かなかったとしても、すべての準備、努力、時間が無駄になったというわけではありません。

 

しかしここで大切なことがあります。

勉強に関しては、中学受験の勉強で培った学力に過剰な自信を持たないということです。

もちろん、公立小学校の教科書には比べものにならないくらいの学習量が蓄積されているお子様もいらっしゃることでしょう。

中学校の勉強がもしかしたら楽勝と考えてしまうのは禁物です。

たしかに中1の最初の時期は簡単に思えてしまうかもしれませんが、長い目で見たらいつの間にか非受験組に抜かれるということもあります。

 

私がかつて見てきた中受経験者の子には、受験勉強のための偏った知識や勉強法が散見される子も見られました。

おそらく受験のために極端なテクニックに走ってしまった弊害でしょうか。

 

ある分野はすごくできるのに、ある分野は極端に手が出ないといったことです。

また、勉強法自体にも疑問がつく子もいました。

いわゆる変な癖がついてしまっている事例ですが、中学受験勉強でもおそらく足を引っ張っていたことだろうと推察します。

式の書き方、問題文の読み取り方、答え合わせの仕方など。

また国語の力が弱いなどといった受験以前の致命的な弱点を抱えている場合もあります。

これらのことは公立中学校に通っても、適切に改善されなければ次の高校受験でも悪い影響を与えることでしょう。

 

私の塾では新中1の春期講習から、その子その子の癖をじっくり見定めて改善すべきところをリストアップしていきます。

それを直接本人にすべて伝えることはしません。

伝えるべきこととあえて伝えずにする場合があります。

指導効果を見定めて決めます。

 

これらの癖を3か月、夏休みまでを目途に改善する指導を念頭に置きます。

これまでの勉強の癖はそうそう短期間でかわるべきものではありません。

夏休みを目途とは言いましたが、継続してその子の課題としてその後ずっと指導上において念頭におきます。

 

次に精神面についてですが、

合格可能性が高かった子ほど、不合格のショックが高く立ち直れないということもあることでしょう。

12歳の子に気持ちを切り替えよう、といっても難しいと思います。

ここは家族の皆様のサポートしかありません。

不合格だからすべてダメだったということではなく、ひとつの経験として次へのステップへ切り替えるのは保護者様からにしていただければと思います。

もちろん中学受験をこころざした当初からそのリスクがあるわけですから、その覚悟は受験前から当然もっておくべきものではありますが。

 

4月からの新学期にはもう気持ちを完全に切り替えるべきでしょう。

これは早ければ早いほど良いです。

そして中学校の勉強や生活に早く馴れることです。

一番いけないことが変な自信をもって中学校の勉強に舐めてかかることです。

 

中学校の勉強は新たなスタートとして、イチから虚心坦懐に取り組む心構えが大切です。

教科書といえども、中学校の学習内容は奥が深いです。

正答が一つしかない問題よりも、考察部分に力点を置く単元もあり受験で培った経験とは違う内容もたくさんあります。

自分で深めていくという勉強の仕方は、私立受験の勉強とはまた違うやり方になります。

 

 

劇団で俳優をしていた人が、一念発起して落語家に弟子入りした際にその師匠がこう言ったそうです。

 

「君のこれまでの経歴は消して来なさい。」

 

つまりこれまでの経験がこれから始まる修行にかえって邪魔になるから、過去の芸歴は一切なくしなさい、ということなのです。

 

 

春立てる霞の空に
白河の関越えむ

 

松尾芭蕉は奥の細道の紀行文で、白河の関を越えようと思って立春の日に東北への旅立ちを決意します。

江戸の人は白河の関を越えればもう江戸に帰ってこられる保証もないような時代ですから、この決意も相当なものでしょう。

 

ぜひ次の旅立ちがお子様にとってより良いものにつながれば幸いです。

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