本の紹介  2017年11月27日|月曜日

『竜馬がゆく』

『竜馬がゆく 全8巻』 司馬遼太郎 著  文春文庫

 

読解:普通 (手元に幕末人物紹介図があるとよい)

一言:幕末から明治維新までの複雑な人物関係が坂本竜馬を通してすごく分かる。

 

歴史の学び方として、「編年体」という1年ごとの出来事を追っていく時系列の学びと、「紀伝体」というある人物の伝記から学んでいく方法がある。

面白いのは「紀伝体」である。歴史上の人物が身近に感じられる。複雑な事も人間関係に直して考えればすごく分かりやすい。だから、歴史の学び方としては初めに伝記を学び、おさらいとして時系列式に年表を覚えるのがいい。しかし、今の教科書は逆に覚えるので、興味付けが難しい。だから、大河ドラマとか歴史漫画に触れるしかない。

「紀伝体」にも弱点がある。それは感情移入してしまうので、歴史を善悪で捉えたり、印象で解釈してしまうおそれがある。

今回挙げた「竜馬」は、そういう第一印象で固定されてしまうおそれがあるほどの名著だ。だから、本名の「龍馬」ではなく、あえて作者は「竜馬」という簡略の名前を使って、暗にフィクションなところもあるぜよ!と示している気がする。

 

司馬遼太郎は昭和の代表的な国民作家である。大衆文学という位置づけだったが、平成に入って「シバリョウ」はついに教養小説になった。ここで注意すべきは、司馬遼太郎の書く主人公はどれも魅力だが、事実であったかどうかは、すこし距離を置く必要がある。あくまで大衆小説として読んだ方が良い。

 

司馬遼太郎の長編小説を読むときにコツがある。初めの第1巻、2巻あたりは忍耐力が必要である。と、いうのは、主人公の若き頃の描写がえんえんと続くからだ。竜馬の若い頃の話はたしかに興味深いが、いじめられてお姉さんに助けられた話を真剣に読んでも始まらない。

それが、第3、4巻ぐらいから俄然面白くなる。中盤から終わりまではどんどんスピードが速くなる。連載小説はいかに読者をひきつけられるかが勝負だから、初めスロースタートでクライマックスにしたがって速くしていく手法だ。

だから手っ取り早く、第4巻あたりから読み始めるのも一つの手だ。そういう読み方があってもいい。

 

とにかくこの小説は名著である。そして、歴史好きになるきっかけを与えてくれる本である。

私は夢中で読んだ。寝る間も惜しんで読んだ。読み終えた後、竜馬に会いたいと思った。

 

また坂本龍馬を追っていくと、幕末から明治までの流れが一気につかめる。龍馬を軸とすれば一本の軸ができる。

だから、桂小五郎、高杉晋作の長州藩、西郷隆盛、大久保利通の薩摩藩、横井小楠、由利公正の福井藩、幕府側では勝海舟、新撰組を網羅。

明治時代でも龍馬の人脈は続く。

土佐藩から板垣退助、岩崎弥太郎、中江兆民、幸徳秋水。海援隊から陸奥宗光など、明治前半の教科書の主要人物が目白押しだ。

 

小学生には漫画もお勧めである。また福山雅治が大河ドラマでも演じていたので見てもいい。時間はかかるが、決して時間の無駄ではない。

教養堂では、小説も漫画も常設する。

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