こんな話  2019年1月6日|日曜日

落語と講談

寄席巡り

新春早々、授業日の合間をぬって、駆け足で東京に行ってまいりました。

各寄席の初席をはしごする、授業の話芸を磨く「修行」でございます。

 

 

新宿末広亭

浅草演芸ホール

柴又帝釈天

寅さん記念館

池袋演芸場

池袋あうるすぽっと 神田松之丞公演

江戸東京博物館

お江戸日本橋亭

 

荒行に近いですな。

このスケジュールで3日間まわりますと、完全に江戸っ子になれる気がします。

間に、江戸東京博物館をはさむという、資料収集も兼ねております。

ちなみに年末に「男はつらいよ」の新作が待っております。

ワタクシの寅さんブームは、今年再燃する予定です。

ですから、寅さん記念館には今のうちに足を運んでおきました。

 

寄席の正月初席は、顔見せ興行なので入れ替わり立ち替わりで色んな噺家さんや芸人を見ることができるのです。

 

 

新宿末広亭

三遊亭円楽

春風亭昇々

神田松之丞

桂文治

 

浅草演芸ホール&東洋館

林家彦いち

川柳川柳

三遊亭圓丈

柳亭市馬

林家木久翁

春風亭小朝

林家正楽

春風亭一之輔

柳家権太楼

 

池袋演芸場

三笑亭茶楽

 

池袋あうるすぽっと

神田松之丞

 

お江戸日本橋亭

一龍斎貞心

 

 

 

春風亭一之輔

私が寄席通いを始めた15年前は、落ち着いた「若手」という感じで聴きましたが、今ではもうすっかり一枚看板で感慨深いです。

金ン坊が出てくるような、子どもの話が本当にほのぼのしていて肩の力を抜いて聴けました。

 

今でも忘れませんが、15年前の新宿末廣亭で、秋のある月曜日、平日なのに、小学4年生くらいの男の子が前列2列目に座って大笑いしていました。

隣に優しそうなご高齢のご婦人がいました。

おばあさんと一緒に来たのでしょうか。

放任状態でありました。

 

その子は積極的に寄席に参加しているものの、笑いのツボが完全に他と違っていました。

しかも、声変りをしていないので、甲高い笑い声がさらに浮いていました。

 

すでに最初の前座の時に、前座の話よりも、その子の笑い方で客がウケてしまっていました。

前座の方も、コントロール不能で、早々に楽屋に引っ込みました。

 

あとに続く二ツ目の噺家も、リズムを狂わせ、その子に反応せざるを得ず、逆にその子をいじることで、何とか場を成立させていました。

おそらく、楽屋でも話題になっていたことでしょう。

前列二列目の子どもに気をつけろ、みたいな。

 

中盤になって、一之輔が登場。

 

「ええ、まあ、今は運動会の季節ですからね、ナンカこう、振替休日っていうンで、学校が休みなんでしょうかネ、子どもの笑い声が……聞こえますケドモ。」

 

と、場の空気を完全に見切り、その子以外のすべての客の心を瞬殺でつかんだ、絶妙なマクラから始まった「初天神」。

 

まさに現代の子どもと、落語に出てくる子ども、いつの時代も子どもは変わらない、そんなクロスオーバーした時空を超えた一席でした。

これぞまさしく寄席の落語ですね。

 

三笑亭茶楽

「寝床」

いろんな登場人物を生き生きと演じ分けます。

10年ほど前に「紙入れ」を聴いて以来でしたが、どっぷり江戸の風情に引き込んでくれるんですよね。

話者が消える感覚です。

3D感覚なんです。不思議です。

 

三遊亭圓丈

名古屋が生んだスーパースター。

名古屋出身の芸能人は今では数多いのですが、元祖がこの人ですよ。

しっかり名古屋のネタで浅草演芸ホールをつかんでおりました。

ちょっと今年は圓丈にハマりそう。

さっそくYouTubeで「名古屋弁版 金明竹」をチェック。

三遊亭圓生の「正調」を知っておくと、さらに面白さが増します。

 

神田松之丞

さて、講談界では何といっても神田松之丞が話題をさらっております。

来年には真打ちになるということです。

二ツ目時代の松之丞を見ておきたいと思って新宿末広亭に立ち見覚悟で行き、翌日に池袋で「慶安太平記」の連続物の初回に行ってきました。

これを連日見られる東京の方が本当うらやましい限り!!

せめてものと思い、松之丞のCDを買って、ミーハーながらサインしてもらいました。

松之丞、眼鏡をかけていると、私の知人にすごく雰囲気が似ている人がいて、ちょっと親近感があるのです。

 

落語と講談  塾講師としては

やはり講談は落語と違って、集中力と思考力が格段に要求されます。

落語は噺家が寄り添ってくれる感じですが、講談はちょっと前のめりに聴きに行くという感じになります。

 

これは会話中心の情景描写に長けている落語と、歴史的史実を言葉で畳みかけて想像を膨らませる講釈との違いなのですね。

それで、塾講師としては、より参考になるのが講談になります。

落語は言わば、授業の合間の雑談や脱線に応用が利き、講談は本筋の解説での話し方に参考になるわけです。

 

講談は、予備知識がなかったり、興味が向かないと途端に集中力が切れます。

これは授業を聞く子どもたちと同じ状況なのです。

これをどうクリアするのかを学ぶためにも講談は有効です。

ちなみに、教養堂の初授業で経済を取り上げましたが、需要と供給と絡ませて大阪で着物を売る話、日本橋で聴いた一龍斎貞心の講談をさっそく参考にしております。

 

 

 

 

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