本の紹介  2026年2月14日|土曜日

『遊清五録』高杉晋作が見たアヘン戦争後の上海

たまに本屋に出向くのですが、お目当ての本を探しているうちに偶然思わぬ本と出会うことがあります。

今回もそうでした。

「お前はこれを読むべきだ」と本に言われた気がしました。

気づくとレジに向かっていたというわけです。

ネットのアルゴリズムのおすすめでは絶対にそうはなりません。

 

 

塾長のほんの本の紹介、今回はこちら。

 

『遊清五録』

著者 高杉晋作

訳者 一坂太郎

発行 講談社学術文庫

初版 2025年12月11日

 

 

幕末長州藩の志士 高杉晋作 が幕府の随行員として上海に渡った2ヶ月の日記。

現代語訳が読みやすい。

惜しむらくは原文が併記されていないことである。

 

この上海往復航路で水夫として乗り組んでいたのが薩摩藩の五代友厚(才助)だった。

五代の目的も上海視察である。まるで諜報員のようだ。

ここで2人が邂逅している。

どんな話が交わされたのか、想像するしかない。

お互い気心を通じ合ったようだ。

2人で上海の本屋で買い物をしたり、情報交換している。

五代から日本の最新情報として池田屋事件を聞かされ、地団駄を踏む高杉。

 

また、高杉はこの時ピストルを2丁購入している。

この1丁がのちに坂本龍馬に贈った銃で、

リボルバー(回転式)のスミス&ウェッソンだと言われる。

 

 

太平天国の乱の真っただ中で、市街地では砲弾の音も聞こえる。

アームストロング砲を見た時にはスケッチをして細かい寸法や砲兵の配置の仕方などを記録している。

アヘン戦争後、植民地化となる上海を肌で感じていく。

 

上海に駐屯するイギリス兵が高杉の刀を珍しいそうに見せてくれと頼まれ、1回は抜いて見せた。

が、もう1回見せてくれと言われときは、高杉は即座に断る。

礼儀のない者達と日記に記している。

またロシアに阿り貿易で金儲けしたと自慢する中国人を見て軽蔑の眼差しを向ける。

 

逆に心が通じ合った現地の中国人とはまるで長年の旧友のように接し、一生の友となるような交流を深める。

中国人とは筆談で会話をする。

漢文の素養の賜物だ。

高杉の、人種で判断するのではなく心の交わりを重んじる精神性が印象的だ。

 

無駄のない情景描写と分析が入る。

高杉の激動の後半生に至るほんの少し前の記録。

高杉晋作が確かにそこにいる。

 

KEYWORDS

お問い合わせ

top