こんな話  2018年7月26日|木曜日

夏の午後、天使が通る。

Ⅰ 寒い日と暑い日

 

教養堂の夏期講習が始まった。

去る2018年2月3日節分の日に教養堂を開塾してもうすぐ半年になる。

 

あれは1月末の大寒の日。

開塾直前期で、エアコンも使えない時だった。

暖房が効かない教室は氷の世界である。

そんな一番寒い日に、家具を搬入した。

家具会社の若い社員の人が手伝ってくれた。

本当はもう一人、搬入作業員として雇わなければいけなかったが、搬入費を少しでも浮かせるために、「僕が2人分やるから大丈夫。」と押し切った。

 

私とその社員さんと二人での搬入だったので、思った以上に時間がかかった。

手がかじかむぐらいの日で、昼でも2℃くらいだった。

体を動かして家具を移動させると体が温まった。

夕方から雪がちらついていた。

搬入が終わると、コンビニで買って来た温かい缶コーヒーを二人で飲んだ。

その社員さんは「塾のご発展をお祈りします。また家具がお入り用でしたら、ぜひご連絡ください。」と言い残して帰っていった。

 

それから半年後、夏期講習から生徒の増加に伴い、あらたに机と椅子を発注した。

その社員さんに再び発注できたのはうれしかった。

今度は「災害」と呼ばれるくらいの猛暑の日。

昼間は39℃。体感なら41℃を超えていた。

若い社員さんがまた来てくれた。

汗だくになって設置していただいた。

 

いつも極端な日に家具を入れている。

 

 

Ⅱ 夏の午後、天使が通る。

 

夏期講習がはじまり2日目。

今日は中3の初授業だった。

中3軍団の後に、小学生軍団、夜は中2軍団。

教室に活気が満ちあふれている。

 

質問対応、解説対応が続く。

特に個別対応している時間帯は、私の説明の声や、塾生の質問の声が続く。

 

ふと、どの授業時間帯でも、質問の列が途切れる合間があることに気づく。

みんなが問題演習に取り組んで集中度が最高潮に達している時間帯だ。

みんな頭の中は高速回転だが、教室は静寂に包まれる。

 

エアコンの空調の風の音、そしてノートをめくる音、鉛筆の書く音。

それらの音が、閑に教室に溶け込む。

 

フランス語で、

 

  〝Un ange passe.″

 

  アナーンジュ パッス

 

ということわざがある。

 

「天使が通る」という意味になる。

 

楽しく会話しているひととき、一瞬会話が途切れて静寂が訪れて気まずくなった時に、

「あ、今天使が通ったね。」と言う。

 

静かになった一瞬を、「天使が通る」と表現する。

ボードレールやランボーを生んだフランスらしい表現だ。

 

私は教室で、塾生たちが集中して勉強しているこの静かな時間帯は、いい意味で、「天使が通っている」と表現したい。

まさに天使が塾生の図上をスゥーと通っていくような、そんな感じがする。

 

 (筆者注:暑さのために朦朧として幻影を見ているわけではございませんので、ご安心ください。)

 

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