勉強の話  2018年6月24日|日曜日

教養堂のこだわり指導ポイント④ 戦法・戦術・戦略から組み立てる学習計画

マネージメント用語の定義

スポーツでも経営でもよく耳にするのが、「戦法」「戦術」「戦略」という言葉です。

もともと軍事用語のはずですが、これらの言葉は今ではマネージメントの用語として広く浸透しています。

 

手元の辞書でこれらの言葉を調べてみます。

「戦法」―勝つためのたたかい方  類義語…戦術

「戦術」―たたかいに勝つための計画。また、目的を達するために考え出した方法や手段。

「戦略」―①戦争で勝つための全体的な計画や方法。②大きな活動や仕事で、うまく目的をはたすための全体的な計画や方法。※「戦術」は、かぎられたその場その場のたたかい方を指し、「戦略」は戦争の全体を考えたたたかい方を指す。

※「三省堂 例解 小学漢字字典 第5版」より。

 

これらの用語は、勉強にも応用が効きます。むしろある目的を成し遂げるという点では、勉強もスポーツも経営もすべてマネージメントというくくりで見ることができます。

 

 

 

「点・線・面・立体」

ここでは、私なりに三つの言葉をこのようにイメージします。

「戦法」<「戦術」<「戦略」

 

「戦略」がより包括している概念になります。

 

 

では三つの言葉を具体例に落とし込んでみます。

例えば、忍者はいくさの中では隠密に専念するために、敵に悟られないような工夫をします。

これらの様々な方法は、「戦法」の範囲内になります。

イメージは、「点」もしくは「線」です。

「戦法」はある目的を遂行するための一つの方策です。

 

サッカーでは、フォワードを「ワントップ」にするのか「ツートップ」にするのか、よくスポーツ解説でも耳にします。

または守備的な陣営にするのか、攻撃的な陣営にするのか、これらは「戦術」と言われます。

イメージは「面」です。

「戦術」はある一つの目的を成し遂げるために行う、複合的な戦法を繰り出す一連の動きと捉えることができます。

 

「戦略」は、これらのいくつかの「戦術」を組み合わせて立体的に構成されるものです。

スポーツで言えば、

①ジュニアユースからの育成 ②フィジカルトレーニングや体幹トレーニング ③栄養管理 ④地域に根差したスポンサー企業の獲得などなど、それぞれの戦術が一つの柱として戦略を支えることになります。

「戦略」のイメージは「立体」です。

「戦略」を支えるためには最低限三つの「戦術」がないと立体として機能しません。

 

先に「戦略」を立てるのはいいのですが、その「戦略」を優先して考えたために、それを支える「戦術」「戦法」を無理に合わせていくと不具合が生じます。

むしろ逆の発想の方が成功します。「戦術」が三つ以上あると「戦略」が成立します。

 

 

「戦略」があとから現れてくる思考実験

たとえば、こういう状況に置かれていた場合、何ができるでしょうか?

 

①戦前からお菓子屋を営んでいたが、終戦直後、経営困難になり、何か売れるものを探している。

 

②戦後の食糧難だから、栄養を摂取できるお菓子を作りたいが、原料となる米の価格が高く手に入らない。しかし小麦は安く手に入る。

 

③会社のある広島の瀬戸内海では小エビが取れるが、これは「かきあげ」くらいしか使い途がなく、あり余っている。

 

さて、あなたならどうしますか?

 

 

 

「小エビ」に「小麦」を練り込んで揚げてみる。

 

 

あ!

「かっぱえびせん」ができた!

 

 

これがカルビーという会社の始まりでした。

 

 

 

最初から「かっぱえびせん」を作ろうという発想ではなかったはずです。

ですから、発想の順番としては、

「戦法」→「戦術」→「戦略」ということになります。

 

さらに、そのノウハウを使って、じゃがいもを原料とした「サッポロポテト」を作り、さらに「ポテトチップス」へとつながったのです。

このようにある一つの「戦略」が成功すると、さらに一つの「戦術」となり、より大きな「戦略」を支えることになるのです。

 

あと、創業者の好物が小エビのかきあげだったというのもあります。

これは、対象となるものに好奇心がないと物事は進まないことを示しています。

 

 

 

勉強に応用

では勉強に置き換えるとどうでしょうか。

 

大目標よりも中目標、中目標よりも小目標、それよりも目の前にある一つのことを成し遂げる、

そうすればある時、気づいたら立ちどころに戦略が目の前に現れる感じになることでしょう。

 

教養堂ではまず目の前にある「すべきこと」を洗い出して、優先順位をつけてひとつひとつ片づけます。

3教科なり5教科なりの目の前の課題を終わらせれば、さらに新たな課題(または知識欲)が出てきます。

さらにそれを実行します。

そうやって小さな課題を螺旋階段状にぐるぐるやっていくうちに、「戦術」「戦略」がある程度見えてくる段階に入ります。

その頃には学力もついていて、「HARI-AWASE」(貼り合わせ)「NERI-AGE」(練り上げ)「KUMI-TATE」(組み立て)を行うことで、「戦略」が実現するのです。

 

 

ちなみに、勉強の始めの段階が一番時間がかかります。

正しい勉強法は「型」ができるまでは雌伏の時なのです。

それをずっと行っていくと、やがて加速度的に成果が上がります。

ですから「戦略」は加速度的に進んだ先のところで、「立ちどころ」に現れてくるものなのです。

 

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