こんな話  2019年12月16日|月曜日

北海道 清里 サクラマスの滝登りを訪ねて

北海道清里町 サクラマスに会いに

 

2017年夏。

教養堂KYOYODOを設立する前に、

北海道をバイクで一周してみました。

古いバイクに荷物満載。

 

 

名古屋発 苫小牧行きフェリー。

バイクをフェリーに載せて、仙台経由で3日がかり。

せまい船室で横になりながら、

私の頭には、吉田拓郎の「落陽」が逆回転していました。

 

「洛陽」

 

しぼったばかりの

夕日の赤が

 

水平線から

もれている

 

 

……こともなく

空はずっと梅雨の薄墨色。

重苦しい低気圧を背負って、

雨雲とともに同じスピードで仲良く太平洋を一路北上。

おまけに三陸沖から「やませ」に煽られます。

 

当然、甲板には憂鬱な雨が降り注ぎ、

3日間、船室に閉じこもりっぱなし。

おまけに船が揺れて、軽い船酔いに気も滅入りました。

 

 

ようやく苫小牧に上陸。

足元がふらつく中、北海道の大地を踏みしめ、

一路、襟裳岬へ。

 

「襟裳岬」

 

襟裳の

春は

 

何も

ない

春です。

 

 

風の岬と言っても良いほどの、風が強いところ。

何もないところだから、良いこともあります。

 

心が洗われました。

 

 

そこから道東を目指し、阿寒湖近くのロッジに泊まり、翌日、摩周湖に行く予定でした。

真夏なのに冬なみの冷たい雨が降り続いていました。

 

朝、ロッジを出発する時に、

宿のおやじさんが、

「摩周湖に行くなら少し寄って、サクラマスの滝登りを見てくるといい。」

とアドバイスをくれました。

 

 

小雨の降る中、摩周湖を一周した後、清里町斜里川上流に行きました。

毎年初夏に、サクラマスが遠い旅路の果てに、故郷の斜里川に帰ってくるそうです。

どんどん上流にのぼって、そこで卵を産みます。

 

上流の手前にちょうど小さな滝があって、サクラマスは果敢にその滝に挑みます。

特に雨が降った後では、滝の水流が激しいです。

 

サクラマスたちはみんな水流に飲まれて失敗します。

でも、すぐ立ち直って、何回も何回も滝に挑みます。

 

 

 

サクラマスには、

 

つらさ

悔しさ

疲れ

ねたみ

嫉妬

焦り

あきらめ

優越感

無力感

敗北感

後悔

 

などという前に進むために邪魔になるような、

負の感情は一切ないかのようです。

 

ただ

水流と逆行して、

全身を使い、

跳ねる。

跳ぶ。

挑む。

 

 

ただただ

滝を登った先にある、

その場所しか見えていない

かのように。

 

 

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