勉強の話  2017年12月5日|火曜日

教養堂の特色④ 校舎の基本設計「ロングライフデザイン」とは?

塾に目立つ看板は必要なの?

私はかねてよりどこの塾も、どうしてこんなにも目立つような外観なのかな?と思ってきました。

特に1990年以降の全国規模の塾の多くは遠くから見てすぐ分かる、カラフルな看板や視覚に訴える校舎デザインが目立ってきました。

それはやはり集客を優先しているのですね。確かに塾は子どもたちが来てくれないと成り立ちません。

それにしては少しでも目に留まるような、街の雰囲気を無視するかのような目立つデザインには疑問を感じます。

塾名が分かるくらいの最低限の識別だけで良いのではないでしょうか。

 

看板はなくてもよかった。

以前、私が建設に携わった塾の校舎の話です。

その塾は企業塾だったので当然その企業のロゴなどを掲げなければいけません。その校舎は3つの独立したコースが併設している校舎だったので、それぞれのロゴを掲げる必要がありました。

しかしどう考えても新しく作った校舎の外観に、この3つのロゴはそぐわなかったのです。

私の美的感覚がそれを許すことができなかったのです。

 

そこで看板を設置することをやめました。これには社内でも反対意見が出ましたが、勇気を持って押し切りました。

看板を掲げない校舎はそれまで前代未聞だったので、責任者の私も一つの賭けではありました。

開校当初は塾と認識されず美容院とか喫茶店に間違われることもありました。しかしそれも半年もすれば地域の方には認知され、全く問題なく子どもたちが集まってくれました。

 

塾の外観はシンプルに最低限度のもので良いのではないでしょうか。

そもそも日本の街は看板が多すぎます。うるさいなと感じることがあります。

塾というものは学問をする上で一定の簡素な美があれば良いと思います。

 

ロングライフデザインとは?

教養堂の基本方針の一つに「ロングライフデザイン」があります。

この源流には、室町文化で花開いた「わび」「さび」の文化があると思います。

さらに大正時代の「民藝運動」もあります。無名の職人の手による日用品の「用の美」というものです。

今、経済産業省が実施している「グッドデザイン賞」の中にも「ロングライフデザイン賞」があります。

流行に左右されない普遍的なデザインに送られる賞です。

 

デザインは細部も体現させる。

学問をする場というものは思考する上で、簡素な美が必要だと考えています。

学問の領域というものは、100億年前のビッグバンから未来に至るまで、大宇宙から素粒子まで、時空を超えた内容から精神世界まで、ありとあらゆることをカバーします。

このような学習空間ではシンプルなデザインの方が最適です。

それは清潔な空間はもちろん、使用する家具や文房具などにもその考えは行き届いていないといけないのではないでしょうか。そして、それを永く飽きずに使い続けることが大切です。これが本当のエコだと思います。

学問も同じで、その場しのぎの勉強はすぐ駄目になります。詰め込みの丸暗記やテストのための勉強はすぐ忘れてしまいます。ずっとその人の思考を形づくるような強固な学びの方が結局は残るものです。

 

「神は細部に宿る」と言われますが、塾の理念は校舎の外観から備品一つに至るまで体現するものだと考えています。

このような考えから、子どもたちの勉強の邪魔をしないデザイン、普遍的なデザインを基本方針にしました。

これは教養堂のロゴを初め、ホームページのデザインにも生かされています。

子どもたちにはこれらのデザイン空間の下で、思う存分学問を追求してもらいたいです。

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