勉強の話  2017年11月24日|金曜日

国語 ある日の教養型授業の話

ある日の教養堂の授業から。

井上靖の「しろばんば」という小説を取り上げます。

 

「おぬい婆さん」がいなくなって、母と土蔵の大掃除をした「洪作」。

おぬい婆さんとの思い出の品のつまった土蔵を一つ一つ片付けていく洪作。

からっぽになった土蔵の中に座ってみると、「もっと大きい淋しさを味わった。」

ここで、洪作の喪失感が読み取れます。

その後の情景描写。

 

「窓からはざくろの木が見え、そのざくろの木の向こうに田んぼが見えた。」

問 「ざくろ」分かりますか?

Aさん 「赤い実です。」

 

ざくろのイメージがあるといいです。

旧約聖書では、イスラエルの民に好まれた神聖な植物で、「安息」という意味も含まれます。

 

問 「赤のイメージ」は何ですか?

答 「情熱」「血」「やる気」「華やかさ」などなど。

 

問 「田んぼのイメージ」は何ですか?

答 「緑」「安定」「育つ…的な?」「落ち着く」などなど。

 

いろいろ出ましたが、安定というのは良いポイントです。

また、「田んぼ」には、「水田」からイメージして、苗が「育つ」イメージが共有できました。

 

ここの情景描写では、「赤」がポイントで、背景は「緑」であり、その景色が、洪作が座る土蔵の窓から見えているということから、おぬい婆さんの思い出を消化して、自立していく洪作の心象風景が表れていると見られます。

 

また、田んぼから吹いてくる風が、北側の窓から南側の窓に吹き抜けるところも、イメージから考えられることを聞きました。

いずれも洪作の「これから」を暗示する点などが挙げられました。

 

このように、名作とよばれるものは、多様な読み方とイメージを可能にさせてくれます。

 

最後に、小津安二郎の映画に触れました。

小津映画には「赤」の小物が印象的に使われるからです。

 

入試読解の範疇を越えておりますが、このようにテキストに描かれているものを拾い上げて解釈していくと、本の読む楽しさも増すと思うのです。入試問題の解法以外に、このような読解法もはさんでおります。

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