本の紹介  2018年4月25日|水曜日

『考えよ! なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』

イビチャ・オシム

サッカーの名監督

1941年 サラエボ出身。

1986年にスターぞろいの旧ユーゴスラビア代表チームの監督に就任。

1990年FAFAワールドカップ イタリア大会でベスト8に導く。

その後、旧ユーゴスラビアの内戦が始まり激動の時代を過ごす。

2003年、日本のJリーグ ジェフ市原の監督として来日。同チームを優勝に導く。

2006年、サッカー日本代表チームの監督に就任。

 

本来なら2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会に日本代表チームを率いて大活躍するはずでしたが、2007年に脳梗塞で倒れてしまい監督を退きました。

しかしそれまでのJリーグジェフ市原時代からずっとオシム監督はサッカーを通じ、日本人に足りないものは何かを、研ぎ澄まされた「言葉」によって日本人を激励してくれたのです。

 

言葉を残す人

スポーツ選手でも芸術家でも料理家でも音楽家でもそうですが、なにかを成し遂げた人の中で「言葉」を残す人とそうでない人がいます。

天才的な人の中には、一代限りで誰にも分かりえない領域に到達したために、その思考内容は外から想像するしかできない人がいます。

しかしまれに一般の人にも分かるように、自分の業績を理論化したり分析したり、その世界の後輩に向けて提言をしてくれたりする人がいます。

 

イビチャ・オシム監督はまさしくそういう人です。

さらに世界的な名監督でありかつ哲学者のような方が日本人に対して思ったことを「言葉」にして残してくれました。

サッカーを通じて語られる言葉がそのまま「日本人論」になっています。

時には耳が痛いことも、オシム監督の言葉なら心地よいのです。

 

教養堂の棚からひとつかみ、今回はこちら。

 

『考えよ! なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』イビチャ・オシム 著

 

「リスクを負わない者は勝利を手にすることができない」が私の原則論である。リスクとは、負けることによって認識すべきものではない。だが日本人はそのようにして生きているように思える。

……リスクを負うということが、日本人にとっては深層的なトラウマになっているのではないか。」

(本文から)

 

 

先日、現在の日本代表監督が交代しました。

ハリルホジッチ監督が解任され、新しく西野朗さんが監督に就任しました。

オシム監督は、健康であれば西野日本代表監督はありうると8年前に本書の中で書いていました。

 

 

 

『オシムの言葉』木村元彦 著

 

『日本人よ!』 イビチャ・オシム著

 

『雑誌 Number オシム特集』

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